『太陽に何が起きているか』

常田佐久 著
文春新書
ISBN978-4-16-660888-1
太陽物理学者が書いた研究エッセイ。
大体のところ新書の研究エッセイとしてはこんなものという感じの本か。興味があるならば、読んでみてもよい本。
とりたてて特別のものではないが、とりたてて悪くもなく。とりたてて細かくはないが、とりたてて難しくもなく。
自分がかかわっている観測衛星に関してやや我田引水的なきらいはあるが、無難にまとめてあるとは思う。
興味があるならば読んでみてもよい本だろう。

以下メモ。
・太陽でも北極と南極との間に磁力線が走る。
太陽の自転は、赤道付近と極付近、表面近くの対流層と下にある放射層との間で自転周期が異なる差動回転をしている。
太陽のプラズマは磁力線にくっついているが、差動回転でプラズマがずれるとき磁力線もずれていく。
プラズマは磁力線を横切れないので、磁力線がよじれると密度が軽くなって浮いてくる。これが黒点である。
対流層ではプラズマの対流で熱を伝えるが、磁力線のために黒点では熱の伝わりが悪く、周囲より低温になって黒くなる。
・よじれた磁力線がつなぎなおされるときのエネルギーで、フレアや太陽風の吹き飛ばしやコロナ加熱が行われている可能性があると考えられている。