『昭和東京ものがたり1』

山本七平
日経ビジネス人文庫
ISBN978-4-532-19531-1
山本七平が、子供の頃だった昭和初期の東京周辺の生活振りを語ったエッセイ。
全体的には、子供時代の思い出を語った特にどうということもないエッセイ。エッセイだから合う人には合うのだろうし、興味があるならば読んでみても、という本か。
山本七平の父親の親戚筋に大逆事件で処刑された人がいるとか知っていると、興味深い部分はあるかもしれない。後、戦前はこうだったという話があるけどそうではなくて、というパターンが多いのは、こうしたエッセイを書くときの常道ではあるのだとしても、『ある異常体験者の偏見』では彼が戦争という異常な体験をしたからということになっているのに、どうやらそうでもないのではないか、とか。
私は山本七平の本は好きだが、それでも特にどうということもないエッセイだと思った。
悪いということもないので、興味があるならば読んでみても、というところだろう。

以下メモ。
・昭和初期には、まだおわい屋がいた。ただし、すぐに肥を買い取るのではなくお金を払って引き取ってもらう時代となった。
山本七平は両親が新宮の出だから食べたが、戦前の東京では鯨は余り一般的ではなかったらしい。
・ちなみに、山本七平はハチを見たことがあるらしい。(渋谷駅を使って、青山学院に通っていた)