『カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男』

エレナ・ジョリー 聞き書き/山本知子 訳
朝日新書
ISBN978-4-02-273206-4
カラシニコフが自らの人生について語った本。
内容的に、特に優れた、ということはないように思うものの、それなりの伝記といえば伝記で、著名な自動小銃の開発者であることと、旧ソ連時代を生きた人の伝記というのは珍しくはあるだろうことから、興味があるならば、読んでみても良い本か。
聞き書きによる自伝なので、自己弁護や自己装飾は多分かなりあるだろうこと、俗流のありがちな保守反動であること、小著なので余り面白いエピソードが豊富に書かれているのでもないこと、から、内容としては、特別という程のものはないと思う。
(子供時代に苦労したことは羽虫にたかられながら農作業したことで、その後のシベリア追放時代に苦労したことは、やっぱり羽虫にたかられながら農作業したことだったりするのは、よく分からない)
現在のロシアにおける保守反動ということは、ソ連への郷愁にあふれている訳で、朝日新書としては確かに相応しい本なのか。
スターリンを評価し、フルシチョフ以降の指導者を評価しないカラシニコフプーチンをどう評価しているのか、興味深くはあるが、言論の自由がそんなに保証されいている国でもないので、書かれていないということが、その答えなのかもしれない)
そうしたもので良ければ、後はそれなりの読み物。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。