『学歴社会の法則 教育を経済学から見直す』

荒井一博 著
光文社新書
ISBN978-4-334-03431-3
教育の経済学に関して書かれたエッセイ。
入門読み物という捉え方もできるが、経済学エッセイ、と考えておくのが穏当な本だと思う。新古典派経済学自由主義に結構敵対的だが、後は、それなりにありそうな経済学エッセイ。
新古典派経済学の考え方ではいじめは解決できない、というのは殆ど言い掛かりに近いだろう(功利主義に対する非難としてならありそうだが、ミルならば、いじめを傍観せず積極的に介入することは、質の良い満足をもたらす、とかいいそうだ)とか、日本の英語教育には、道具としての言語を使用可能にする以外の機能がありそうだとか、批判できる部分もあるし、最後の方は常識的言説を垂れ流しているだけという感じもしないでもないが、全体としては、それなりにありそうな教育の経済学に関するエッセイだろう。
そう特別でもないが、別にこんなもの、というところだと思う。
そうしたもので良ければ、読んでみても、という本だろう。
以下メモ。
・富裕な人々が、富裕度を誇示するために、多大な資金を教育サービスの購入に充てる、という側面がある。
・小学生くらいの子供には、(分冊ではない)一冊の百科事典を与えてやると良い。
・小規模学級が生徒の学力を向上させるという明瞭な結果は出ていない。