『高いところが好き』

田部井淳子
小学館文庫
ISBN978-4-09-408206-7
著者が7大陸最高峰に登頂した時のことを綴った体験記。
(7大陸というのは、ユーラシア大陸をアジアとヨーロッパとに別けている。ヨーロッパ最高峰はロシアにあるエルブルース。オセアニアの最高峰は、オーストラリア大陸にではなくニューギニア島にある)
基本的には、登頂時のことをメインに書かれた紀行文的な本で、さくさくと読めるし、7大陸の最高峰を制覇するなんていうことは誰もができることではないだろうから、割と面白い本だと思う。興味があれば、読んでみても良い本。
ただし、多分エベレストに登ったことだけでも十分一冊の本にできる訳で、一冊の本で7つの峰というのは、やや詰め込み過ぎの感がなくはない。その分、準備の話や後日談をはしょって、登頂メインに書かれているのだろうから、前後のことはいいから登頂時の話だけを知りたい、という人には、かえって良い本なのかもしれないが(だから、文庫化に際して一章を追加したのは、この本の特質とは合っていないともいえる)。
私としてはもう少しゆったりとしたものの方が好みではあり、この著者が他に本を書くのなら、そちらの方が良さそうな気はするのだが、これはこれでこうした本なのだろう。後は、そうしたもので良ければ、楽しめる本だと思う。
興味があるならば、読んでみても良い本だろう。