『麻原彰晃の誕生』

高山文彦
文春新書
ISBN4-16-660492-9
麻原彰晃の生い立ちが書かれた読み物。
一応、オウム真理教設立の頃までの松本智津夫の足取りを辿ったもの、といえば辿ったものだが、焦点がぼやけているというか、著者が強く出過ぎというか、伝記というより、ノンフィクション読み物、と捉えた方が良い本か。
つまり、この著者の他の本を読んで面白いと思ったような人が読む本。
変な架空の人物が出てくるとか、情報として伝記として面白いのはオウム真理教設立後ではないかとか、事件から余り日を経ずに書かれたものを十年後に本にすることの意義がどこにあるのかとか、細かい不満が結構あって、全体的に、どうも私には余り良い本ではなかった。
ただし、読み物としてどこか特別に悪いという程ではないので、これで合う人には合うのだろう。この著者の他の本を読んで面白かった人には、面白い、のかもしれない。
別に私は薦めないが、そうした人ならば、読んでみても、という本。
しかし、釈尊が亡くなる時、教団を捨ててアーナンダと旅に出た、という解釈は聞いたことがないが、誰かがそういうことをいっているのだろうか。
(↑という変な仏教解釈を書いているところが、私が感じた違和感の決定打ではある)