『満鉄調査部 「元祖シンクタンク」の誕生と崩壊』

小林英夫 著
平凡社新書
ISBN4-582-85289-0
満鉄調査部についての概史。
通史といえば一応は通史だが、記述的には、誰がどの役職に就いたとか何年に何を出版したとかどの部署がどう改組されたとかいう年表的な概略記事ばかりがメインで、どうも、表層的な事柄だけを追っているような感はある。
シンクタンクとして冷徹に日本が負けるという判断でも示されたら困るから、睨まれて潰されたのだ、とでも主張するのなら、話として面白くはあっただろうが、それは、示唆はされるけども論証は全然されていないし、個人的には、これでは一冊の本に足るだけの内容がないと思う。
概略で良ければそういう本ではあるが、あんまり面白い本でもないのではなかろうか。特に読んでみる程のものでもないと思う。