量子力学を分かるものとして捉えようとした試み

『量子とはなんだろう 宇宙を支配する究極のしくみ』
松浦壮 著
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-520000-1
量子を理解できるものとして分からせようとした中級向け入門書。
これまで、量子は人間の常識に沿わないものとして説明されることが多かったが、それが科学的事実である以上、人間の直感を量子に合わせるように鍛えるべきだ、とした本で、その意味で興味深く、お薦めしたい、という欲はある。
しかし、量子はベクトルとその一次変換である行列によって表現される、わけで、予め線形代数について少しは知っている人でないと分からないのではないだろうか。
理解できるものとして書かれていても理解できるかどうかは別だ。
中級向け入門書で良ければ、という本だろう。

以下メモ
・行列やベクトルの内積でその成分が分かるので、行列やベクトルで表した量子の内積を計算すれば、その物理量が計算できる。
・量子が持つ角運動量は、プランク定数の単位で飛び飛びになるため、プランク定数の整数倍か半整数倍の数値を持つ。スピンが整数倍になるのがフェルミオン、スピンが反整数倍になるのがボソンであり、角運動量プランク定数の単位でしか増減しないため、フェルミオンとボソンが入れ替わることはない。