『「がん」はなぜできるのか そのメカニズムからゲノム医療まで』

国立がん研究センター研究所 編
講談社ブルーバックス
ISBN978-4-06-512093-4
がん研究についての現状のまとめ。
完全に理解するには結構難しめだとは思うが、まとめではあるので、それでよければ、という本か。
DNAや免疫機構などに関して、知らないと背後のメカニズムとかこれ絶対分からないよね、という部分もあるにはあるが、がんの本でそこまで説明もできないのだろうし、知らなければ知らないでそういうものかと流してしまうかもしれない。
後は、現状のまとめでよければ。オプジーボの機序の話とか(がん細胞が免疫細胞から逃れるための分子の働きを阻害するらしい)。
なんとかができれば、みたいながん制圧の夢物語は、今まで幾度となく狼少年で終わってきたわけで、切実な事情がないなら、三年後に現状のまとめを読むか五年後に現状のまとめを読むか、もっといえばがんが実際に治る病気になってからでもいいわけで、今でなければ、本書でなければ、という特別な理由はあまりないように思う。
それでもよければ、という本だろう。

以下メモ。
・がんはいくつもの遺伝子変異が重なって起きるものと考えられ、歳をとった人ほどなりやすいのはそのためでもあろう。
遺伝子変異にはエピジェネティックなものも含む。
・がん患者がどのような遺伝子変異を持っているかを解析すると、喫煙とか感染とかの原因によって特定のパターンを示すようだ。
・様々なストレスによって変性した老化細胞から分泌される物質によって慢性炎症やがん化が促進されることが分かってきた。