『現代経済学 ゲーム理論行動経済学・制度論』
瀧澤弘和 著
中公新書
ISBN978-4-12-102501-2
現在における経済学の展開を素描した本。
基本的に、法則の発見を目指して市場均衡における精緻な数理モデルの確立を追及した新古典派経済学から、現代ではゲーム理論行動経済学を使った人間の経済行動のメカニズムを分析するようになった、と説いたもの。
そうしたものでよければ、なかなか面白かった。興味があれば読んでみてもよい本だと思う。
問題点としては、やや難しめであることと、現代経済学に対する著者の把握がこうだ、という以上のものは結局はあまりないこと。
どうせ分からないから本書を読んで方向付けを得てからゲーム理論行動経済学を学ぶという順番はありかもしれないが。でも王道ではないと思う。
ある程度経済学について知っている中級者向け。
それでよければ、読んでみてもよい本だろう。

以下メモ。
・ルーカス批判は、人々の持つインフレの予想によって結果が左右されうる、という点において、物理学的な法則の発見という旧来経済学からの離脱を意味していた。
・同じような意味において、人間が歴史的あるいは無意識的に依拠している制度の分析が現代では重要になっている。