『統計は暴走する』

佐々木彈 著
中公新書ラクレ
ISBN978-4-12-150594-1
統計の誤った使い方をしている言説の例を挙げて、批判した本。
そうした批判本といえばそうしたものだが、政治的に左過ぎて個人的には合わなかった。
日本は人口で10位、面積で61位なのに世界8位の防衛支出が本当に必要なのかというのは統計の誤った使い方ではとか、周辺住民は十分なステークホルダーではとか(本書で問題にしているのは保育園の設置に反対する周辺住民であって沖縄の米軍基地ではないので政治的に左)、夫婦別姓は選択式なのだから反対は意味をなさないというのは言い過ぎではとか、二酸化炭素の排出量は増え続けているのに最近では地球温暖化のペースは頭打ちになっているという言説に対して地球環境は複雑で長期的な問題だから統計を以って語るべきではないというのは、現実に二酸化炭素による地球温暖化を警告する言説ではたいてい近年の二酸化炭素排出量の増加と気温の上昇とを絡めているから、恣意的ではとか、いろいろといいたいことは多い。
的確に突っ込めるほど批判的に読めるなら本書を読む意義は薄いし、突っ込めないなら影響を受けてしまうしで、いい本だとは思えない。
個人的に薦めるような本ではなかった。